run and hide2~春の嵐~


 そりゃ飲みにいくでしょ。

 それも苦労を共にした仲間と共に。

 正輝に会いたい気持ちも勿論あったけど、でも今日は、今日までは仕事に生きると決めたのだから。



「飲みにいくわよーう!!」

 亀山と田島君と一緒に会社に戻って最初の発言がそれで、え?と驚いている牛田辺さんも田中さんも引っ張って、私達は夜の繁華街へと繰り出す。

 とにかく騒いで酔っ払いたい、そんな時のためにある、巨大なビアホールへと足をむけた。

 全員お酒は飲めるとわかっている。それにビアホールであって、お洒落で気取ったバーではない。というわけで、この店のうりである巨大ピッチャーをまずは注文し、全員で乾杯となったのだった。

「お疲れ様~!!」

「うす」

「お疲れ様でした」

「大変でしたね~」

「でも大成功よ!」
 
 皆が口々にそういってビールを飲む。田島君が注文係として店のおねーさんに色々頼んでいる時に、私は気がついた。

 いつもうるさいくらいの田中さんが、えらく大人しいってことに。

 飲んでいるし、笑顔は浮かべている。だけど以前の私、といって間違いなしの格好をした田中さんはやけに静かだったのだ。

 牛田辺さんと田島君が話している間も、心ここにあらずって感じでビアホールを見回したりしている。私の観察をしていなかった。ちょっと前までは、会えば全身舐めるように見られたものだったのだけれど。


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