オトナの恋を教えてください
俺は自ら顔を背け、いろはの手をやんわり解放した。

いろはに訝しさを感じさせないように、あくまで教師として言う。


「やればできるじゃん。な、カップルつなぎ成功。見つめ合うの成功」


いろはがぱあっと表情を明るくした。


「ホントですねぇ!やった!」


俺は不覚にも高鳴ってしまった鼓動を抑えながら、平静を装う。


「じゃ、今週平日はちょっと時間取れないから、次のデートは土曜で。休日だから、新宿でいいだろ」


「はい!次は休日デートの練習ですね!頑張ります!」


いろはは無邪気にニコニコしている。
あー、さっきのヤバい表情がフラッシュバックする。

しばらく、あの顔は忘れらんないな。


「デート初心者っぽく映画を見るから、見たいものあったら決めといて」


「なんでもいいんですか?」


「いいよ。でも、ホラーは勘弁」

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