まだ、心の準備できてません!
◆聖なる夜に甘く溶かされて


クリスマスイブ、仕事を終わらせてくれた夏輝さんが車で家まで迎えに来てくれたのは、夕方五時頃。

久しぶりに気合いを入れて髪をゆるく巻き、黒いコートの下にシフォンワンピースを隠して、ドキドキしながら助手席に乗り込んだ。


「今日、なんか雰囲気違うな」


車を発進させる彼に言われ、私はピクンと肩を跳ねさせる。


「えっ、なんかおかしいですかね!?」

「いや、いつも以上に可愛いなと思って」


……あーもう、その甘い微笑みでそんなこと言わないで! 胸が苦しくて、ご飯が食べられなくなっちゃうよ。

なんて思いながらも、嬉しくないはずがない。

このワンピース、買ったのいつだっけ?と忘れているくらい前のモノだということは、絶対内緒にしておこう。


すでに外は暗闇が広がっていて、もうイルミネーションを見に行っても問題はないけれど、早めの夕飯を食べてから行くことにした。

心地良い揺れに身を任せながら、着いた場所はおしゃれなレストラン。

高級ホテルのような外観で、エントランスの木々にも白と青の装飾がきらきらと輝いている。

店内に入ると以外とカジュアルさもあって、大きなクリスマスツリーがさらに素敵なムードを演出していた。

ひとつひとつのテーブルが離れているから、他のお客さんの会話も気にならず、とにかく雰囲気が良い。

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