まだ、心の準備できてません!
そう意気込んでいるものの、結局レストランでは渡せず、イルミネーションを見に行くことに。

バッグにしまってあるプレゼントが気になりつつも、夏輝さんとの初デートは胸がときめいて仕方ない。

信号の三色の明かりも、どこからか聞こえてくる定番のクリスマスソングも、お店の呼び込みをするサンタクロースのコスプレをした人も。すべてが特別で、愛おしいものに思える。

恋に落ちると人はこうなるんだなと客観視しながら、やっぱり大切な人がそばにいるというのは幸せなことなのだと実感した。


由香が教えてくれた教会の周辺は、家もお店も一帯がイルミネーションで彩られていて、車の中から見るだけでも胸が弾む。

近くの駐車場に車を停め、鮮やかな夜の世界に降り立った。


「すごい、綺麗……!」

「あんまり見惚れてると迷子になるぞ」


ぽかんと景色を眺めていた私の手を、大きな手がそっと包み込む。

そういえば、夏輝さんと手を繋ぐのって初めて……。

手の平から胸の奥まで温かさが流れ込んでくるようで、私は頬を赤らめながら彼を見上げて微笑んだ。


教会に向かうまでの木々に囲まれた道もキャンドルで照らされていて、とっても素敵。

その道をゆっくり歩きながら、いつの間にか指と指が絡められている。

それだけのことで嬉しくて、私は彼女なのだと少しだけ実感が湧いた。

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