課長の独占欲が強すぎです。

 上手く拾えなくて聞き返そうとした言葉を、宍尾さんは

「馬鹿な事を言ったな、気にするな。さて、帰るか」

と半ば強引に締めて、再び大通りへ繋がる歩道へと歩き出した。

 聞こえなかった欠片は気になったけれど、それより私は宍尾さんの背中が心地良い余りいい加減眠くなってきたので、睡魔に抗わず素直に瞼を閉じることにした。

***

 翌朝、猛烈な吐き気と共に目覚めた私は、自室のカーテンから差し込む光に眩暈を感じながら必死に昨夜の記憶を呼び起こした。

 ど、ど、どうしたんだっけ? 私昨日酔っ払っちゃって……確か宍尾さんにタクシープールまで送ってもらって……

 そこまで考えて頭が沸騰しそうに熱くなる。どうやってお店から送ってもらったかを鮮明に思い出したからだ。

「お、おんぶされた! いい年して上司に! まだ配属されて半月も経ってないのに酔っ払って大醜態晒した!!」

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