課長の独占欲が強すぎです。

 けれど、その態度が逆に宍尾さんの機嫌を損ねてしまったみたいで、眉間に皺を刻まれながら一歩詰め寄られる。

「誰だと聞いてるんだ。言えない相手なのか」

 私の上に影が落ちるほど近付かれて、つい壁際まで後ずさりしてしまった。やっぱりこの人恐い! そんなジリジリにじり寄られては、クマに追い詰められる獲物みたいで生きた心地がしない。

「別に隠すような相手じゃ……」

「なら言え、誰だ」

 なんで尋問されてるか分からないけど、これ以上この巨躯に詰め寄られてはたまらないと思い、「東主任に用事が……」と馬鹿正直に答えてしまった。

 しかし、解放されると思った尋問はさらに圧力を増す。

「仕事が終わってまで何故東と会う。何の用事だ」

 恐ろしく不機嫌を滲ませた顔で、今にも頭からかぶり付かれそうなほど近付かれて、私は思わず「ひぃっ」と口から小さな悲鳴を零してしまった。

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