私は何を信じればいいですか?




side希尋




「俺達が、怖い?」

「………っ!」

ビクリと肩を揺らして。

泣きそうに、顔を歪めながら。

それでも唇を噛み締めて、堪える礼央がとても小さく。

何かに怯えて、震えてるみたいに見えて。

「……大丈夫。怖がらなくていい」

あんなにも凛々しい礼央が。

細く今にも折れそうで。


ねぇ、君は何を抱えてるんだろう?

泣きたければ泣けばいい。

そう思うのは俺だけ?



「無理、しなくていい」



そんな辛そうな顔をさせるのは一体何?


「………無理なんかっ」

黙らせるように、守るように、礼央を抱き締める。



「俺は、いつでも話を聞く」




「礼央は一人じゃない」


礼央がちゃんと泣けるようになるまで、ずっと側にいる。

礼央は、俺にとって特別だから。

覚えてないだろうな、礼央は。

俺と前に出会っていたなんて。

あの日、礼央が俺にしてくれた事も。



「………希尋」

「ん?」


そして、それがどんなに俺の支えになっていたかなんて、知る由も無いだろうね。


「ありがと………」

「こちらこそありがとう」

は?と怪訝そうに声を上げる礼央。

君は知らなくていいよ。

覚えてなくていいよ。

でも、これだけは知っておいて欲しい。


ちゃんと礼央のこと、大切に想ってる人がいるってこと。








『ごめんね……っ、バイバイ希尋……!』




真っ暗な闇の中にいた俺に、光をくれたのは。


礼央、君だったんだ_______。













side希尋終わり


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