公園であいましょう
(35)

 俺がそのありえない話しを初めて知ったのは、
 郁と旅行に行く日の朝だった。

 まだ寝ていたところを、スマホの着信音で起こされて
 俺はくぐもった声をだした。



   「.........はい。」

   「翔太、あなたの彼女っていう女性のことが週刊誌にのるわ
    今から、すぐ事務所に来て。」



 真島さんの行ったことを、頭がきちんと理解するまで
 しばらく時間がかかった。



   「翔太、聞いてるの?」



 二度呼びかけられて、俺は跳ね起きた。



   「そんな、、あんなに注意してたのに? 
    そんなはずないよ。」

   「とにかく、すぐ事務所に来なさい!」



 取るものもとりあえず、駆けつけた事務所の一室で
 その写真週刊誌を見たとき、俺はまず、ほっとした。

 写真にとられていた女性は郁じゃなかったから。

 でも、内容を読んで唖然とする。




   「お相手は、清華学院大出のお嬢様で、現在は父親の経営する
    会社に勤めている。
    井倉翔太とは、高校の同級生だった。」

   「父親の会社はもとは代々続く老舗の呉服屋で、井倉翔太とは
    仕事で再会し、密やかな交際を続けている。」

   「こりゃどうみても相手は、栄福屋の広報宣伝部長補佐っていう、」
   
   「相沢涼子氏」

   「だよなぁ。」



 なんともいえない沈黙が皆の上におりてきた。
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