公園であいましょう
(7)
 公園のベンチに座りながら、この半年余りの事を思い出していたら
 なんだか心が温かくなった。
 
 たった15分の出逢い。でも、充分な気がする。

 佐倉くんはまだこない。

 でもそのうち、遠くでゴロゴロと雷がなるのが聞こえてきた。

  
  (なんだか、空模様があやしいな)

 
 そう思っていた矢先、ポツンとつめたいものが、鼻先にあたる。


   
   「いやだ、ふってきた!」


 
 そう言って立ち上がった時、公園の入り口から佐倉くんが入ってくるのが見えた。
 佐倉くんも突然ふりはじめた雨にびっくりしている。
 
 二人とも、傘などもっていない。
 もたもたしているうちに、大粒の雨がどんどん空からおちてくる。


   
   「佐倉くん、今日は帰るね。」

   「それじゃぬれるよ。ちょっと待って。」


 
 雨を手でよけながら、走り出そうとする私の手を、
 佐倉くんがつかんでひっぱるから、私は仕方なく佐倉くんの後ろを走り出した。
 
 

 公園から3分ほど走ったところにあるマンション。
 
 佐倉くんはそこのエントランスにとびこみ、エレベーターのボタンをおした。


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