公園であいましょう
(21)

 写真集という大きな仕事をやり終えた後も、
 次から次と仕事が入ってくる。

 ありがたい事だけど、俺は公民館に行く時間が作れないでいた。

 でも、プロモーションビデオの打ち合わせが早く終わったおかげで、
 俺は、公民館へむかってバイクを走らせている。

 時間ギリギリだ。
 委員長は帰ってしまっているかもしれない。


 坂を登って、公民館の駐車場にすべりこんだところで、
 公民館の裏手から、委員長が走り出してくるのが見えた。

 そして、彼女は一台の車に近づいていく。

 古いスポーツタイプのジープ、青いチェロキーの運転手と
 二、三、言葉を交わした委員長は、チェロキーの助手席に乗り込んだ。

 助手席に委員長を乗せて、その車は俺の目の前を通りすぎていく。


 俺は、今見た事が信じられなくて、
 しばらく去って行く車を見ていたが、再びバイクに跨がり
 青いチェロキーを追いかけた。


  (あの、青いチェロキーは、、、あの運転手は、、、)

 
 なんだか、胸がざわざわする。

 ずっとヘルメットを被ったままだったから、バイクで俺が後ろについている
 ことには気づかれないだろう。


  (でも、なんで、岩間さんの車に委員長が乗ってるんだ?)


 焦りに近い気持ちをおさえながら、考えてみても
 二人の関係がわからない。

  
  (俺に岩間さんの写真集をみせたのは、委員長だけど
   その時は何も言ってなかった。

   知り合いだったのか、、、?
 
   いや、写真集は偶然見つけたような口ぶりだった、、、)


 もう、すっかり暗くなった道を、俺は青い車のテールランプ
 のみを見つめて、追いかける。

 そうして、そのテールランプは、ビルの地下駐車場へ吸込まれて行った。



 
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