月だけが見ていた
「やるね。まだ入社して半年でしょ?」


コーヒーを啜りながら上原に言うと、彼女はいつものクールな表情に戻っててきぱきと資料を片付けていた。

正直、若い女子というだけであまり期待はしていなかったが
こいつは想像以上に伸びそうだ。


「失礼します」

「あー、ちょっと」


自分のデスクに戻ろうとする細い背中に声をかける。


「はい?」

「お前、もうちょっと笑ってた方が可愛い。」

「……」
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