泣き虫イミテーション

偽物の

｢若松さん、｣

｢やぁ来たね、橘さん。どこ行こうか、どこでも構わないけど。｣

｢…とりあえず、コメダいこう。ウインナーコーヒーの気分だから｣

｢ちょいすが大人だなー｣

昇降口で待ち合わせた二人は歩き出した。文化祭終わりの弛緩した空気。片付けが明日の作業として残っているから、まだ全部終わりではないけれどもう祭りの部分は終わってしまった。

学校から繁華街の方へ向かう道の途中にある喫茶店に二人で入る。席は半分ほど埋まっていたが、騒がしいこともなく過ごしやすい。11月の寒風にふかれた肌を店内の暖房のきいた空気が温めた。

｢なんて答えるか決まったの？橘さん｣