恋人たち【短編集】




――しばらくして。

「明日香。」

「なによぅ。」

「なんで――なんでブランケット?」

けげんそうなユウの声が耳に届く。
今夏だし、そう思うよね。でも――

「わ、私、夜中エアコンつけて勉強してたら、風邪ひいたし…ユウは私より夜更かしして頑張ってそうやから、体心配やなって、思ったんよ。
ほんとはうたたねしてるユウに私がブランケットかけてあげたいし、ごはんとか作ってあげたいけどなかなかそっちいけんからさ。
ユウがそれ見て、体調気をつけんとって思えたらいいなって思ったの……えへへ、なんか図々しいかな?」


「ううん。」
ユウの声が、ユウの肩を、私の頭を通じて響く。
ユウの腕が、私の背中に回る。
「ありがとう。大好きだ。」

「私も…大好き…」





幸せな幸せな誕生日だった。

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