【好きだから別れて】

・押されたスイッチ

悠希のおかげであたしはあの妬ましい出来事が起きた日からしっかり鍵をかけるようになっていた。


“この体は自分だけの物じゃなく、最愛の人の為にも存在している”


そう思えたから自分が出来る限りを実戦したんだ。


一人で外に出る時は露出を抑えたり、男に繋がる物を排除したり


売り上げに繋がらなくてもいいと腹をくくり、客とのメールもなるべく控えた。


あたしにとって何が大切なのか。


何が幸せなのか。


自分の胸に手を当てずとも答えは確実に見えている。


幸せは


希望は


手を伸ばせば届く距離にあった…



悠希と付き合い秋から冬へと様変わりし、いつ雪が降ってもおかしくない季節を迎えた。


日々冷え込む部屋に暖房を付け、風邪などひくものかと寒さをしのぐ。


が人の出入りが激しい職場は環境的に風邪菌の宝庫。


あたしも流行り風邪を貰い、咳が止まらない。


体調管理は自分でしなければいけないのに風邪をひいても薬を飲まず、ほおっておいたツケは回りこじれ気味だった。


激しい喉の痛みが出始め、仕事から帰宅すると悠希が部屋で待っていてくれた。