【好きだから別れて】
「歩ぅぅ~」


「なんだよ~」


「ひよこケツ~!」


「ムカツク!馬鹿ぁぁ!!」


悠希のアホな台詞のおかげで場はなごみ、叩いたり、顔を引っ張ったりふざけて何枚かプリクラを撮った。


互いが満足するまで撮影し、撮り終わると出来たてのプリクラを二人で覗き込んだ。


「たくさん撮ったしこれで寂しくないでしょ!?」


「んっ…。寂しくないわけがない」


悠希の顔を下から覗き、うなだれた感じにあたしは息を詰まらせ目をそらした。


優しい言葉など自分からは出て来てくれそうになく、何も言えなくなり


「えへへっ…」


笑える限りの作り笑いをしてごまかした。


「1ヶ月だもんな。すぐだよ。俺は大丈夫!」


悠希も作り笑いして懸命に無理してる。


自分の選択肢でこんなに悠希を苦しませ無理させているなんて…


「大丈夫か…」


百ある楽しかった気持ちがマイナスまで一気に落ちこんでしまいそうだった。


なのに悠希は一生懸命で。


「どれ。ゲーム軽くして帰るか!」


暗いもやを消す為に話をずらす悠希は、とても大人でとても強い。


「うん」


――クヨクヨしてらんない。今を楽しまなきゃ。一日一日が貴重なんだから


~今を楽しむ~

姉の所に行く前に悠希との貴重な時間を大切にしたい。


一つでも多く思い出を胸に刻み、目に焼き付けたい。


それが切なる願い。


「歩!あれやろうぜ」


「取れんのかよ~」


UFOキャッチャーをしたりコインゲームをしたり。


時よ止まれといわんばかりに、二人は夢中で大声をあげ“今”を楽しんだ。
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