極上ドクターの甘い求愛



ドクンッドクンッドクンッ


仰向けから俯せの態勢になった岩崎先生の寝息が、左耳にダイレクトに流れ込んでくる。

どうしよう、どうしよう、どうしよう…っ!!

そもそも男の人と抱き合ったり身体を重ねあったりしたことなんてないから、これが事故であったとしても相手は無意識の状態でも、ドキドキせずにはいられなかった。

岩崎先生のシトラスな香りがふわりと鼻孔を擽って、より一層胸を高鳴らせてしまう。


『……ふ、ドキドキしすぎ。』

「っ!?」


突然、囁くみたいに左耳の鼓膜を叩いた低い声に驚いて、最早声なんて出なかった。

信じられないものを見たかのように視線を横にずらすと、そこには寝起きにしては爽やかすぎる先生の笑顔。


『――おはよ、繭ちゃん。』

「……っっ」


慣れたように朝の挨拶をしてくる岩崎先生から、バッと顔を背ける。

だって、だって……、顔が近い――!

こんな至近距離で先生の顔なんて見たことない。まともに男子の顔もこんな近くで見たことないのに。

色んなことが初めてすぎて、まともに挨拶の言葉なんて発せない。



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