労苦
第13章
     13
「俺も門島さんに言われてた通り、現場百遍のデカなんだよ」


「門島さんって、梶間さんの先輩警官ですよね?」


「ああ。頑固で小うるさくてね。俺も散々振り回された。でも、得るものは多かったよ」


 現場から撤収し、車に乗り込んで、警視庁へと向かう。


 午後四時過ぎだ。


 疲れている。


 体がだるい。


 夏の暑さで。


 着ていたワイシャツの下はじっとりと汗で濡れていて、おまけに臭気がする。


「門島警部補のことは、また後日時間があれば聞かせてください」


「うん、そうだね。同じ警察官だったんだし」


 頷き、運転席に座って、ハンドルを握り続ける。 





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