労苦
 新たな週の土曜、俺も橋村も普通に警視庁に出勤してきた。


 午前8時20分過ぎに一課のフロアに入ると、橋村がいて、


「梶間さん、おはようございます」


 と挨拶してくる。


「ああ、おはよう」


「きつそうですね?」


「ああ、まあな。……年取ったからだろうな」


「まだ40代で、お若いのに」


「いや、ガタが着始める頃だよ。正直なところ、参っちゃってる」


 本音が漏れ出た。


 パソコンを立ち上げ、キーを叩き始める。


 午前中、課内庶務をこなす。


 強行犯七係の詰所の係長席には警部の嶺岸が座っていた。
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