労苦
第39章
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 その日も午後6時ぐらいまで帳場で話をし続けた。


 この事件は警視庁が所轄に丸投げしたヤマだ。


 俺も橋村も余計に口出ししているに過ぎない。


 それに警視庁自体、動きが鈍い。


 殺人事件といっても、南新宿署刑事課の人間たちに任せて、知らんぷりを決め込むのだろう。


 確かに捜査は手詰まっている。


 そして犯人たちは闇で蠢く。


 何かあるはずだ。


 裏で。


 神宗会は相変わらず、都内でも新宿を拠点に放し飼いされている。


 それに矢野原監察官も内田晶夫も逃亡中だ。


 事件関係者はまだ一人として捕まってない。





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