労苦
第50章
     50
 その日の午後、ずっと南新宿署の帳場で前田と話し続けた。


 そして午後6時を回る頃には署を出、車を停めている駐車場へと歩き出す。


 疲れていた。


 だが、追っているヤマがある以上、疲れたなどとは口に出せないのだ。


 警視庁へと戻り、十階の捜査一課フロアで残務をこなす。


 午後9時を回る頃には建物を出て、桜田門駅から地下鉄に乗り込んだ。


 帰宅すると、晴海が出迎えてくれる。


 遅い夕食を共に取り、混浴した後、同じベッドで眠った。


 淡々としているのだが、これが刑事の日常だ。


 慣れている。


 いつも同じことを繰り返しているな、と思いながらも……。


 警察官だからと言って、派手な立ち回りばかりこなすわけじゃない。




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