労苦
第86章
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 その日も午後6時過ぎまで新宿の街にいて、それから警視庁へと戻った。


 疲労困憊である。


 だが、帰庁してからも、残務があった。


 桜田門へと戻り、十階の捜査一課フロアで残っていた仕事をこなす。


 午後9時を回る頃には本部庁舎を出た。


 桜田門駅から地下鉄に乗り込み、自宅へと戻る。


 晴海が出迎えてくれ、揃って遅い夕食を取った。


 混浴してから、同じベッドで眠る。


 妻がまだ寝ている朝の早い時間帯でも、俺の方は起きて仕事に向かうのだ。


 まあ、いろいろあった。


 過労もストレスも、そして扱っている事件の膠着も。


 だが、投げ出すわけにはいかない。




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