労苦
第8章
     8
 金曜が非番であることを利用し、丸一日ゆっくり過ごした。


 そして土曜の朝、午前七時に起き出してから、晴海の淹れてくれたコーヒーを飲み、洗面する。


 カバンを持ち、妻に一言、


「行ってくるよ」


 と言って、歩き出した。


 慢性的な疲労で、体はだるい。


 だが、警視庁に行けば、相方の橋村が待っている。


 桜田門駅まで地下鉄に乗り、駅で降りてから、警視庁本部庁舎へと向かう。


 一課のフロアに入り、先にデスクにいた橋村に、


「おはよう。すぐに出るよ」


 と言って、連れ出そうとした。


「梶間さん、大丈夫ですか?一課長に無断で行ったりして」





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