労苦
第98章
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 その日も一課に詰め、仕事をこなしながら、他の刑事たちの様子を窺っていた。


 絶えず周囲の状況が気になる。


 だが、慣れているのだし、橋村も脇のデスクにいて、時折声を掛けてきた。


 応じながらも、蟠りはある。


 当山謙太が口を封じられたのは、やはり身内との軋轢があってからだろうと、容易に推察できた。


 かと言って、すぐにマル対に攻撃を掛けるとまずい。


 ここは警察としても、慎重になる。


 すぐに片付けるのは無理だろう。


 いつも思う。


 警察の先走りで、捜査に失敗した事件はたくさんあると。


 今まで警視庁にもその手の案件がたくさんあり、皆痛感していた。


 だから、ここですぐに神宗会へ接近するのはまずい。
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