東堂くんは喋らない。
「なっ、な何で!?」
『何でって…ちげーの?』
「ちがっ…くは、ない…けど!」
なんか、花火大会に誘うってけっこう意味深…っていうか…!
『おまえ』
電話の向こうで、山本が微かに笑う気配がした。
『人のことだけじゃなくて自分のことにも鈍いのな』
「はぁ!?」
『じゃ、とにかく花火大会、ヨロシク~!あっ、絶対浴衣着てこいよ!』
「あっ、ちょっと…!」
待て!という前に、電話は切れた。
プー、プー、という無機質な音が虚しく響く。
「ったく、自分の言いたいことだけ言いやがって」
スマホを放り投げてゴロンとソファに横になると、真っ白な天井に東堂くんの顔が浮かんだ。
“人のことだけじゃなくて自分のことにも鈍いのな”
…どういう意味よ、あれ。