東堂くんは喋らない。





「ああぁああ…」


「…なに悩んでるのか知らないけど、今日は香弥の前から燃えてたリレー選手決めだよ」



そんな柑奈の言葉に、呻くのをやめガバッと顔をあげた私。



「マジで!?」


「マジ。昨日の帰り言ってたじゃん、山本が」



そう、実は私が年間で最も燃える行事、体育祭はもう二ヶ月後。そして何を隠そう山本、我がクラスの体育祭実行委員長。



…そういえば言ってたかもしれないけど、昨日は何分衝撃的な出来事があったのでいろいろ記憶が曖昧だ。




そして、今日の体育の時間を使い選考する代表リレーの選手決め。



代表リレーは優勝クラスを決めるための競技ポイントも高いし、去年も特別盛り上がった。


もちろんこの私が燃えないわけはない…のだけど




「やばい…コンディション最悪だよ今日」


「…でしょうね。目の下のクマ、相変わらず酷いし」




昨日もなかなか寝付けなくて、結局うとうとしたまま朝を迎えてしまった私。



赤い勝負パンツも履いてきてないし!!





「今年のリレーは絶望的だ…!」




ああっ三年間連続出場を目指していたのに!!(もちろん去年も出た)




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