東堂くんは喋らない。





「でもさー、最近だよねぇ東堂くんと会うようになったの。
お散歩コースとか変えたの?」



「………」




険しい顔をしたまま、無視を決め込む東堂くん。



「ねぇ」


「……」


「答えてくれないとこの写メ、クラスラインに貼るよ」


「!!!」




グルリと勢いよく振り向いた東堂くんが、私が見せる画面にうつった、奇跡の一枚を見て眉をひそめた。




「…てめぇ」



「おっと」




慌てて取られないようにスマホを遠ざける。


取り逃がした東堂くんの手がビュンッと空を切った。




「……盗撮しといて恐喝かよ」



「だってこうでもしなきゃ東堂くん会話してくれないじゃん」



「………」




チッ、と忌々しげな舌打ちと、組まれる長い脚。




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