東堂くんは喋らない。





チラ、と振り向いた東堂くんと目が合う。




…正直、東堂くんが何に対して疑問を持ってるのかイマイチわかんないんだけど




「つまんないなんて思わないよ。


仲良くなりたいとは思うけど!」




あと、ちょっと暴言も控えて欲しいなとは思うけど!




「…………」




虚をつかれたような顔をした東堂くんが、じっと黙って足元を見つめた。




「東堂くんは?私と仲良くなりたいって思わない??」




「…………別に」




「えぇー!そこは思うって言ってよ嘘でも!」




いや嘘でも困るけどさ!




ブーイングする私を見て、東堂くんが微かに笑う。




…今度は、私が虚をつかれる番だった。




「と、とととと東堂くん、今笑っ…!」




「…!!!」




ハッとした東堂くんはすぐに険しい顔に戻ると、ココアを物凄い速さで抱き上げた。



あまりの速さにハチがめっちゃ驚いている。





「…帰るぞ、ココア」





そしてあっという間に公園から立ち去って行った。






「…あ!」




突然のことに唖然としていた私は、今さら大事なことを思い出す。





「東堂くん!明日クラス会だからねー!1時にボーリン場集合だから!」




「………」




私の声は、届いたのか届いてないのか…




わからないけど、今日はちょっとだけ東堂くんと距離が縮まったような気がした。







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