雨恋~雨のちキミ~

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「いやぁ───!里やん、見て見て見て見て!!!先輩、めっちゃかっこい───!」


「そんなに叫ばんでも見えてるわ。ってか、バシバシ叩くなや。肩潰れるやん」


テンションマックスなあたし恵千賀子(めぐみちかこ)とは対照的に、隣に立つ『里やん』こと里中晴臣(さとなかはるおみ)は、ものすごくつまらなそうだ


「何でそんなにテンション低いんよ!せっかく誘ったったのに」


「別に頼んでへんし。それに、どうせ見るんやったら男子より女子の方がよかったわ…」


まぁ、里やんの意見も分からないでもない

だけどあたしが見たいのは、水月孝則(みつきたかのり)先輩

今日は、その水月先輩が所属する男子バスケットボール部の対外試合


「1人で見に来たらよかったんちゃうん」


と言いつつ、あたしが誘うといつでも付き合ってくれる優しい里やん


「だって、先輩人気あるから…。1人で来てたらめっちゃ目立つやろ?皆に目つけられたくないもん」


ファンクラブまである水月先輩


先輩は皆のもの

だから抜け駆けは許されない


それがファンクラブの鉄の掟らしい


「恵もファンクラブ入ってんの?」


水月先輩がドリブルをするたび、黄色い歓声が体育館に響き渡る

隣を見ると、手すりに肘をつきコートを見下ろしていた
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