雨恋~雨のちキミ~

-3-

中学3年だったあたしは、その日も塾から歩いて帰っていた


え…雨?

今日、降るなんて言ってへんかったやん


昨日の天気予報では降水確率は20%だったから、必要ないと思って傘は持ち歩いていない

突然降り出した雨に、最初は頑張って走ったけれど

どう考えても、家に帰り着く頃にはびしょ濡れになってるだろうし


もー、えーわ…


走ることを諦め、荒い息を整えながら前髪から落ちる雫を手で拭った

もう靴の中もビチョビチョで、歩くたびにグチョッという気持ち悪い感触が足の裏に広がる


あんなにえー天気やったのに…


恨めし気に上を見上げても、9時を過ぎた空はどこまでも黒く

夜のせいで黒いのか、雨のせいで黒いのか分からない


寒っ…


日が差していたうちはあんなに暖かかったのに、雨が降り出した途端急に冷え込み始めた


カーディガンぐらい持ってくればよかったな…


そんな風に思った後、傘を忘れたこの状態じゃカーディガンを羽織ったところで意味はないと思い直す


「あの…」


突然背後から呼びかけられ、体を硬直させた

ギッと音がして、すぐ真横で自転車のブレーキが掛けられたのが分かる
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