君とカフェで会えたら
 =次の日=

カフェでのバイトの後、今日も湊先輩と帰りが一緒になってしまった。
と言いつつやっぱり先輩と一緒に居られるこの時間が私には夢みたいな時間で、凄く嬉しいんだけれど・・・。
二人で駅までの並木道を歩きながら先輩が言った。
「可鈴ちゃん、色々ありがとう」
「え?」
「この間、三咲さんに話して四人で映画行くこと三咲さんもOKしてくれたって聞いてさ、お礼も言えてなかったから・・本当に可鈴ちゃんが三咲さんの友達で助かったよ。」
「あっいいえ!そんな全然気にしてないので大丈夫です。」
「映画の日にちは俺達が可鈴ちゃんが空いてる日に合わせるから」
「でっでも!」
「ん?」

この時・・・私は先輩に言えなかった。
『先輩に彼女が居るなら私は行きません。』
この一言がどうしても言えなかった。
湊先輩の事が好きになればなるほど・・欲張りになっていく
もっと先輩と一緒に居たい・・
もっと先輩と話していたい
私のこの気持ちを
彼女が知ったらどう思うだろう・・・。
そう思っていた時、湊先輩が優しい声で「どうしたの?」なんて聞いてくるから・・・もうダメだよ先輩。
彼女でもない私に、そんな心配そうな顔をして、そんな優しい声で聞いてこないでよ・・・。
(あれ・・?)気付いた時には自分の気持ちが自分でコントロール出来ず自分の頬に涙が零れ落ちていた。

湊先輩はびっくりしたのか少し焦って私に「どしたの?!何かあった?」と聞いた。

「いやっ違うんです!これはそのっ」
私がこの状況を変えるためのウソを考えていた、その時。
頭に温かいものを感じた。
湊先輩が私の頭を撫でてくれていたのだ。「よしよし・・・」

「え?・・」
「辛い時は我慢なんかするな!何があったかは分からないし言いたくないなら無理には聞かないから・・ただ今は少しだけ俺に頼ってよ。話しならいくらでも俺が聞くから・・」

(彼女が居るくせに・・・私の事なんてただの後輩としか思っていないくせに。そんな心配そうな顔をしてそんな事言わないでよ・・・)
< 36 / 82 >

この作品をシェア

pagetop