嫌いになりたい
そんな風に言われたら、あたしは他の人とは違うって…

勘違いしちゃうよ…


「章吾…」


掴まれた手とは反対の手で、章吾の頬に触れる

目を閉じ、されるがままの章吾

肘をついて上体を起こし、その瞼にそっと口付けた


彼が何を抱えているのか

あたしじゃ何とか出来ないのか


切なくて、胸が苦しい


恋なんてもう二度としないと思ってた

ずっと一人で生きていけると思ってた


「もっと、俺の名前………呼んで」


それなのに、彼はこんなにも容易くあたしの心を開いてしまった


「章吾」


「ん」


「章吾」


「うん」


「章───、っ…」


彼を呼ぶ声は、彼の唇に飲み込まれる


「───ん、あっ…。章…」


次々に落とされるキスと、肌を滑る彼の舌

体中が彼を求め、彼に反応する

何度も突き上げられ、昂る体

激しい行為にいつの間にか意識を失い、次に目が覚めた時には太陽が部屋の中を眩しく照らしていた
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