嫌いになりたい
机の上に鞄を下ろそうとしたあたしは、昨日のことを思い出し

一瞬動きが止まった

健太と永野くんのことが頭をよぎる


『俺は───まだ亜弥のことが好きだ』


『俺、宇佐美のことが好きだ』


思いもよらなかった人達から相次いで告白された昨夜

思い出すだけで、なぜかギュッと胸が締め付けられた


「宇佐美さん?」


不思議そうに首を傾げた彼女の声で我に返る


「あ…」


「大丈夫、ですか?」


「うん。大丈夫、平気。さてと………仕事仕事」


気を取り直して鞄を置き、気持ちを切り替えようと声に出した

昨日の2人からの告白よりも

章吾が他の女の人の腰に手を回して歩いて居たことの方が

あたしには苦しかった


早く章吾に会いたい


ただその思いで、機械のように仕事をこなした
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