ナナ色Heart

嫌な予感

「ナナ、お前、土日どーすんの?」

俺は、5組に入り、帰り支度を始めていたナナに声をかけた。

ナナはカバンに教科書を詰めながら俺を見て、ニコッと笑った。

「土日は、ママが沖縄帰っていないから、DVDでもレンタルして夜通し見よーかなって思ってる。DVDマラソン!」

……チャンス!!

俺は内心、ほくそえんだ。

「じゃあ、俺ん家来いよ。一緒に観ようぜ」

俺は、浮かれてるのを悟られないように、さりげなく窓の外を見ながら言った。

「なんなら、今日の夜から泊まれば?彩さんには、俺から言うから」

彩さんとは、ナナの母親だ。

ナナに紹介された時から、俺はナナの母親を『彩さん』と呼んでいる。
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