印堂 丈一郎の不可解な生活
「Alles macht so einen neuen Anfang(全てはそう、振り出しに戻る)」

サーがその一言を口にした直後。

「ぐあぁあぁぁぁぁっ?」

また丈一郎の体中に、インプ達が纏わりつく!

あちこちを鋭い牙で咬みつかれ、悶絶する丈一郎。

「どうなってやがる!確かにさっき全部やっつけたのにッ!」

「さて…どうなっているんだろうなぁ…」

慌てふためく丈一郎の様子を、愉快そうに見つめるサー。

…私には分かる。

だって私もまた、『原初に還る』前からこの世界にいたんだから。

サーが行使したのは出自自体が太古に至る魔法。

魔法魔術発祥の地、そしてサーの第二の故郷たる魔界で編み出されたと思われるもの。

高い魔力と高度な呪文詠唱、術式を必要とし、総じて難解過ぎる為に、人間や並みの化け物では行使不可能なもの。

高純度の知識が内包されており『毒』が非常に強く、一目見ただけで激しい頭痛や精神汚染によって倒れ伏せるなど解する事は難しく、『毒』に耐えられる技量や特性を持つ者は皆無。

魔界の悪魔でも、同系統の術式を扱えるのはサー以外にもう一人だけという、超高度な魔法だった。

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