印堂 丈一郎の不可解な生活
「いい質問だ、丈一郎」

ティーポットからカップに自分で紅茶を注ぎ、香りを楽しみながら。

「滅びの五人、というのがいる」

お爺ちゃんは告げた。

「滅びの…五人…?」

鸚鵡返しに丈一郎が言う。

如何にも大仰な呼び名。

だけど決して大袈裟じゃない。

昔から調息法に関わる者には語り継がれてきた存在。

何事にも原因があって結果がある。

調息法がこの世に編み出された理由。

人類が太刀打ちする為に調息法を苦心の末に練り上げた理由。

それがこの五人にある。

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