女神の微笑み
その時、アヤの家のインターフォンがなった。
「来たかもね」
アヤが言った。
「だね!」
ユミが答えた。
「頑張ろうね、ユミも、さくらも」
「うん」
まだ少し、うつ向き加減ではあるが、答えたさくらは少し、微笑んだかに見えた。
それを見届けたアヤは玄関へ向かい、数分後、三人はパトカーに乗せられ、警察署へと連れられて行った。


警察署についた三人はそれぞれで取り調べを終え、それぞれが違った留置場での夜を迎えることとなった。
消灯を迎え、薄暗くなった鉄格子の中でアヤは思う。今、私がここにこうしている意味などないに等しい。
でもどこで、何をしていたって、そこにある自らの本当の存在意義を主張できる人が、果たして何人いるだろう。仕事だからここにいる、遊びに来たからここにいる、何のために仕事をするの?稼ぐため、生きるため、遊びにしたって仕事で溜まったストレス解消。
遊びや旅行を楽しみに、仕事をし、金を稼ぐ。
当たり前ともなりがちなこのサイクルの中で、完全に満たされる人間がいるのかな?多分答えはノーだ。
みんなどこかではこんな不安や疑問を持ち続けてるはずなのに、考えないようにしているだけなのか、
< 22 / 252 >

この作品をシェア

pagetop