夜の跡
始まりの月
とある場所
黄色い月そして、赤い月
黄色い月と赤い月が空を彩る
絶対にありえない一緒に空に上がり、向かい合う二つの月
一人でもこの光景を見たものは信じられないと言っただろう


そしてこれが、事件のきっかけだった―――


始まりの月



とある家。
大騒ぎだった。
「学校遅れる!!」
「さっさとしなさい。待ってるじゃないの、いつもの二人が」
部屋の中をどたどたと走る。
階段から悲鳴が上がる。
そして、落ちるような音が聞こえた。
これがこの子の日常と誰も気にする者はいない。
廊下を走る音。靴を急いで履く音。鍵をあける音。ドアが開く音。
朝のいろいろな音がする。
「おはよ。」
「よっ。早く行くぞ。」
「荷物は、流季に持たせたらいいよ。」
「てめぇ!!」
朝から、とある家の前でけんかをする男の子二人。
それを無視して流季と言われた男の子に荷物を渡し、一目散に走るただ一人の女の子。
「あっ、まって。」
「おい!!風鈴!楓!待ちやがれてめーら!!」
笑いながら風鈴と呼ばれた女の子と楓と呼ばれた男の子が走った。
この三人がある物語に巻き込まれることになるというのに・・・・・
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