幸せの結末
経理部の横にある小さな会議室に入る。

『座って。』

そう言われて、3人掛のソファーに座ると、翔は、テーブルを挟んだ向こう側のソファーに怒った様子で座る。

その顔を見て顔を上げられなくなった私は、俯いたまま翔の言葉を待っていた。


『由華…。』

優しい声で会社以外の場所で呼ばれる由華という名前で呼ばれ、パッと顔を上げると困った顔の翔と目が合った。

『由華。どうした？何か悩みでもあるのか？由華が、金額が一桁違う書類を俺に提出するなんて初めてだよ？』

テーブルの上に置かれた書類に赤いペンで大きく丸印がついている箇所を指でトントンとしながら、私を見つめる。

『課長。申し訳ありません。確認不足でした。すぐにやり直します。』

そう言って、書類を掴み立ち上がる。

すると翔は、私の腕を引きソファーに座るよう促す。

私がソファーに座り直したのを確認してから、

『由華。ちゃんと俺の質問に答えて。』

そう言って、私を見つめた。
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表紙・目次

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