陽だまりの天使

「私にも佳苗の女子力があれば、男もいちころなのにー」

直美はそう言ってくれるが、私にある女子力は家庭的なことだけであって、外見には反映されていない。

仕事柄、動きやすいこと重視してしまいズボン率が著しく高いし、直美みたいに短くても髪をおしゃれにセットする術もないし、真帆みたいなにじみ出る色気もない。

「直美、そんなこと言ったら今日佳苗はここにいないし、私たちに友チョコくれる余裕もないでしょ。確かに佳苗なら彼氏できそうだけど、この間のアレはないわ」

例の合コンもバレンタインに告白できるような男を捕まえる、と言う名目でこの3人で一緒に参加した。

誰とでもすぐに仲良くなれる直美は一見合コンの勝ち組だが、男勝りで盛り上げ役で終わってしまい、真帆は美人なのに表情も口調もクールすぎて高嶺の花として崇められて、声を掛け辛い対象になってしまう。

たとえ付き合うに至ったとしても、真帆に可愛い言動を求める男性には真帆の相手は無理だ。

3人でお互い彼氏がいない理由を探すが、やっぱり出会いが著しく乏しいことと、理想を求めすぎている、という結論に至る。

「あれねー。初対面だからってあんなガッチガチにならなくてもいいじゃん。施設の新しい入居者なら平気なのに、なんで?」

「まあ、馴れ馴れしすぎのやつもいたからさ、佳苗にはちょっとね」

先日の合コンのダメだし会が始まり、私は苦笑いをする。

正直、テンションをあげて盛り上げてくれる男性陣はありがたかったが、共通の話題は見つけられないし、大騒ぎだったので、話らしい話もできなかった。

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