黄昏と嘘

なぜか、まだ別れてから何ヶ月もたっていないというのにモモカと一緒に過ごしていた頃がすごく遠くのことに思えた。
いろんな出来事を思い出し、複雑な感情に襲われ、チサトは自分自身、嗚咽していることすら気付かなかった。

今、アキラとこうして暮らしているけれどなぜだかすごく淋しい、好きなひとと一緒にいるはずなのに。
いや、そうでなくとも、もし好きな相手でなかったとしてもこんな暮らし方、当然、淋しいはずだ。 
誰かが一緒にいるからこそ、余計に寂しいと感じるのだ。

ひとりで暮らしているのなら、自分でひとりだと認識しているからそうでもない。
誰かが一緒にいると思うから、自分はひとりではないと認識し、ひとりでいることに対して余計に寂しさを感じるのだ。

チサトはこんな思いをするのなら授業だけ受けて、それで満足してたほうがよかったとアキラと一緒に住んでいることを後悔すらし始めていた。

2人にもっと距離があった以前の頃ならここまでの思いはなかっただろう。


なんで…こんなことになっちゃったんだろ・・・。
先生に頼らなければよかった・・・。
先生に近づき過ぎてしまったのかもしれない。


・・・・・・モモカは今もチサトが笑って元気で暮らしていると思っているのだろう。

そう思うとチサトはキリリとこころが苦しくなる。


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