黄昏と嘘

・・・こうして一緒に暮らすことになってしまったけれど、どうせ2、3日で出て行くだろうと思っていた。

でも1ヶ月以上になるというのに、まだ一緒に暮らしている。


――――私、キミじゃありません。
   日ノ岡 チサトです。―――― 


「日ノ岡チサト、か・・・」


アキラがそう呟いたとき、ちょうどリビングのドアが開く。


「あ・・・先生、まだここに・・・?」

「・・・ああ、」

チサトはアキラがてっきりもう、自分の部屋に戻っていると思っていたが、まだそこにいたことに少し驚いた顔をする。

いつもきっちりしている彼なのに、そのせいだろうか、アキラの様子が少し変に感じた。
でもそれはつい今しがたまで眠っていたせいなのかもしれない。
 
本当に疲れているんだな、そう思うと同時にアキラの邪魔してしまったかもしれない、そうも思った。


「起こしてしまってすみません。
でもあの、ちゃんと部屋に戻って眠ったほうが・・・」

「わかっている」


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