ありふれた恋でいいから
畑野君を想って、彼との未来を想像することで溢れてくるパワーは尽きることを知らず。

「実乃たち見てると愛の力ってホントにあるんだと思えるわ」

親友の玲ちゃんがからかうのも忘れて驚くぐらい、私たちの集中力は研ぎ澄まされていた。

相乗効果とでもいうのだろうか、じわじわと成績は上がり、志望大学の合格圏内をキープ出来るようになった頃には雪も舞い散る寒さがやってきて。
初めて二人で迎えるクリスマスもお正月も、受験生には手放しで満喫できるほどの状況じゃなかったけど。
映画を観に行ったり、キャンドルの中小さなケーキを二人で食べたり、電話越しにカウントダウンしてお祝いしたり。
そんなささやかな楽しみが二人の日常を彩っていた。
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