ありふれた恋でいいから
ーーーだから。

突然現れた吉田の姿に、周りの連中が紅一点だと騒ぎ出した時も。

マネージャーだった彼女を誰かが呼んだんだろう。

それぐらいの認識でしかなかったんだ。







……翌朝、目を覚ますまでは。






気分が悪い。
身体が重い。
自分の身体が脈打つ度に刻まれる不快な頭痛。

「おはよう、脩二」

これが俗に言う二日酔いなのかと痛む頭を持ち上げた俺の耳に入った女の声。


「……」


……目の前の光景に、まずは自分の目を疑い、続いて詰まるような喉の不快感に襲われた。

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