ありふれた恋でいいから
須藤のいない日々が、ただ流れてゆく。

時間が薬だと聞いたことがあるけれど、そんなこと一体誰が言ったんだろう。

もがいてももがいても、出口が見えないまま過ぎてゆく毎日に、須藤の面影は消えることなどなく。

大切な人の人生を左右してしまった自分の行動を悔やむばかりだった。

―――だから、彼女が元気でいてくれたら。
もし、須藤が新しい環境で笑えるようになっていたら。


そう願うことが一筋の光で。
だとしたらその光が消えぬよう、俺は心の中で祈るしかなくて。

ただ、祈るしか出来ないまま、季節はいつの間にか新しい年を迎えようとしていた。
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