ありふれた恋でいいから

この関係を言葉にするならば

12月の街は、煌びやかなイルミネーションで溢れたクリスマスシーズン。

クリスマスカラーに彩られたあらゆる媒体は人々の心を浮き足立たせて、近付く聖夜をより特別なものに演出していく。

普段は殺風景なロビーに飾られた大きなクリスマスツリーもいつの間にかこの景色に馴染んで。
時折親子連れが歓声を上げ眺める光景も微笑ましい。

それでも、その先に年末年始を控えた師走の病院は毎年の事ながら忙しく、今日も朝から息つく間もない慌しさに翻弄されていた。

「お疲れ様。少し休憩しようか」

隣に立つ先輩が静かに息を吐く。

デスクの上の時計を見ればもう14時を回っていて。

「はい…漸く落ち着いてきましたね」

疎らになった受付前のソファーを見渡しながら、今日初めて意識して呼吸したような気がした。
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