龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

学園内最強の生徒会長



  ドン


「痛っ!」

昇降口で靴を履き替えて、三歩歩いた瞬間、廊下で誰かとぶつかった。

バランスを崩して倒れこむ。

ぶつかった所と、転んだ時に擦った手ががダブルで痛い。

「あ~、ナゴミちゃん、ゴメーン。ほんっとゴメンネー」

適当に謝ったのは、全身完全校則違反の女子。去年、五年生の時同じクラスだった。

小学生のくせに髪を明るい茶色に染め、制服をかなり着崩している。

はっきり言うと、まだお子様な顔と体型には全然似合ってない、ませた格好。まるで姉の服を間違って着てしまった馬鹿な妹だ。

正直、見ててイライラする、苦手なタイプだった。

「どんくさー…クスクスッ」

やっぱり口だけか。わざとか。
あいつ、全然自分が悪いなんて思っていない。

本人は小声で言ったつもりだろうけど、全部聞こえてるし。

チャラチャラした背中に向かって、ナゴミはベーッと舌を出し、中指を立てた。

「失せろ、この糞色髪女!」

溜息の代わりに、もうあのマセガキには届かない声で呟いてみた。

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