龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

「放火、盗難、事故、事件、いじめ、暴力、嫌がらせ、異物混入……」

斜め読みしてもナゴミはクラクラしてくる。

嫌な言葉が散りばめられてる。

「な、なんで、ここだけこんなに事件が……」

「おい、何をしてる」

「ぴょえっ!」

後ろから低い声が響いた。

花厳がいつの間にか帰宅していたらしい。

「ご、ごめんなさいぃ……って、あれ?菜種さん?」

「へへー、残念、オレでしたー!カザの真似、上手かったっしょ?」

振り返ると、鼻の下を指で擦りながらケラケラ笑う菜種の姿があった。

「もう!ビックリさせないでくださいよ!でも、どうしてここに?」

「ごめんごめん、ヨツに頼まれたもの持って来たんだ。どうせ『下剋上』するならド派手な方が良いっしょ」

「ド派手って……」

前回の美奈の件が頭をよぎる。

あれと同じくらいの事をまたやるのだろうか。

「クロちゃん、今度は何する気?」

「だから、『下剋上』だよ。カーストの上にいる邪魔な奴を蹴落として、下にいる奴を助けて上に持っていくんだ」

四葉はファイルを片付けて上の空で返事するが、答えになってない。
< 68 / 99 >

この作品をシェア

pagetop