龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

コドモの話



ドッ。


「ん?」

初等部生徒会室の閉まった扉が鈍い異音を発したのは、下校時刻を知らせるチャイムがなる十五分程前の事。

生徒はほぼ全員帰宅、あるいは部活の片付けをしているところ。

生徒会室の前、しかも初等部になんてほとんど人は通らないはずなのに。

「どうした?」

帰り支度をしていた四葉には聞こえなかったらしい。

不思議そうにナゴミに声をかけた。

「いや、さっき何かぶつかったみたいな音が……」

「ぶつかった音?ノックならまだ分かるけど……」

「そうだよね……?ちょっと私見てくる」

一応護身用に携帯してる薙刀を片手に、ナゴミはそろーっとドアを開けるが、誰もいない。

気のせいかと思いつつ閉めようとすると、

「うぅ……」

と、うめき声が聞こえた。

「え、うわっ?!人?!」

視線を下に移すと、ドアに寄りかかるようにして女子生徒がうずくまっている。

四葉がナゴミの声に反応し、素早く駆けつけた。

「えーと、この人は……」
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