引っ越し先はあたしの隣⁉︎
初めての






暦は12月になった。

先月まで長袖一枚羽織るくらいで十分だった寒さが、一段と増してコートやマフラーが必要なくらいに。


あれから、岩島とは廊下で顔を合わせる度に笑って挨拶するようになった。
そう、あの頃と同じ。

たまに放課後一緒に帰ったり。


って、そこには隼田くんもちゃんといるからね!
大丈夫、安心してください!

しっかり手を握られてたから。

その時のチカラは強すぎて、痺れるほど。

気持ちはかなり伝わってきたけどね。


でね、びっくりしたことが1つあって。

岩島とあたしが住んでる所、近いんだって!
本人曰く、『アパートの隣の隣の隣の家』だって。


数ヶ月前に知ってたら絶対怯んでたと思う。


でも、今はなんとも思わない。
あくまで、普通。

隼田くんはかなり嫌な顔してたな〜。




「ねぇ、気持ちわるいんだけど」


はいぃ?!

急に現実に戻され、
発された方に目をやると、妹の光樹があたしを黒い目で見ていた。
しかも、腰に手を当てて偉そうに戸に寄りかかりながら。


お前はモデルかっ!!

心の中でツッコミを入れると、



「……今日なんか予定があるんじゃないのー?」

と言った。



その言葉にソファーから勢いよく立ち上がる。


そうじゃん!今日はデートだ!
時間はっ!?

スマホ画面をつけて時間をみた。



【10:31】



だ、大丈夫っ。まだ大丈夫だった〜。
あと15分後に家を出る予定だから。

朝早く起きすぎて、準備もバッチリ済ませたせいで余裕こいてたから……。


光樹に感謝だ。



「ほんっと、舞美って抜けてるよね〜」

そう言うとサッと立ち退いた。



ひどい!ひどすぎる!ほんっと一言余計なんだからっ!
ムカつくー!



「光樹のばーーーかっ!!」

でも、これが姉妹なのかなって思うんだよね。

妹っていう存在がいてくれて良かった。










< 210 / 237 >

この作品をシェア

pagetop