鬼呼びの花嫁





「……わたしは、鬼に喰われるか、好きでもない人の子供を産まなくちゃならないってこと、ですか?」

榊先生の話からなら、
襲われて喰われるか、最強の子孫を残すために群がる鬼たちに身を任せなきゃいけないことになる……そんなこと


「確かに過去には鬼たちに喰われてしまった女性もいました。その他に鬼の花嫁になり最強の力を持つ子供を産んだ女性もいました。そして、逃げた女性も」

「逃げた?」

「普通は鼻の利く鬼からは逃げられませんが、他の鬼が手助けしたのかもしれません」

―――逃げた人がいる?
わたしも逃げられる?


「つばきさんはもう無理でしょう……つばきさんが強い鬼を呼んでしまったのですから。わたしを含めて」

わたしが?呼んだ?
榊先生たちを?


「つばきさんは昨夜襲われたことで覚醒しかけたんですよ。もう逃げられません」


榊先生のひとことで地獄へと突き落とされるわたしがいた―――



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